27.海賊版
これは世界的に問題になってきているので、ご存知の方も多いと思うが、中国にも一応、「著作権」というものはあるのはあるのだが、誰も気に留めていない。
それは日本と違い「見られればいい、聞ければいい」という基本的なことと、「安いにこしたことはない」という理由からだ。
映画であれば、日本ではDVDやビデオが主流だが、中国ではDVDとVCDである。VCDは日本ではほとんど普及しておらず、見ることもないが、
映画も音楽もそれで見聞きできる。
日本の某有名電気メーカーにそっくりな名前とエンブレムのプレーヤーで見るのだが、中には画像が荒く、ちらついて見づらいものや人影が写っているものもある。これは日本の映画館で後ろの方の席に座って、カメラ撮影をしているため、最前列の人がトイレに立つ姿などがスクリーンの前で影になっているのである。
中国では日本のように洋楽のCDは多くないが、以前大好きなアーティストのCDを見つけ、思わず買ってしまった。家に帰り、パソコンで録音しようとしたが、案の定、なかなかできず、その店に「海賊版だから換えてくれ」と言いに行った。店員は「聞けないのか」と聞いてくるので「聞けるが、録音できない」と答えると、「聞けるのだったら、問題ない本物だ」と返ってきた。ここで怒ってもしょうがない。お手上げだ。
根本的に「本物」と「海賊版」の概念が違う。日本では権利のない者がコピーをし、売った時点で犯罪になるし、間違いなく「海賊版」である。しかし、中国では売るほうも買うほうも「見られること、聞けること」が前提で、内容が把握できればいいため、その時点で問題なければ、「海賊版」ではないのである。(もちろん、法律上は違う)
アメリカ映画から韓国、日本のドラマまであらゆる種類のVCDやDVDがあるが、本物は限りなく少ない。七割ぐらいの海賊版に対し、三割ぐらいの本物は、もちろん値段が張るため、どうせ買うなら安い方をということで、あまり買われていない。というより、「本物」が何なのか知らないという人もいるはずである。
また、日本ではどこにでもあるレンタルビデオやCD店などは中国には皆無である。
仮にあったとしたら、かなり速いペースでその店は潰れる。借りた他人のものを誰も返さないからだ。(もちろん知り合いであれば日本と同じで返すが)
中国しか知らない中国人にとっては、ごく当たり前のことだが、外国人にはもちろん、外の世界を見たことのある中国人から見ても、かなり問題があるようである。
しかし、中国政府は何も策を取っていないわけではなく、違法の店や物を片っ端から取り締まっている姿も見る。
特にオリンピックが開かれる北京もそうだが、第二開催地区である青島でもかなり厳しい取締りが行われている。
中国ではキオスクのような店が道端にどこにでもある。その店が政府の許可を受けていれば何の問題もないのだが、違法の場合、夜中に何も告知せずに撤収するため、次の朝、店員が出勤すると、そこには何もないという状態で、その店員は店があったはずの場所でキョロキョロしながら、呆然としている姿も見かける。
こういうのを見ると、非人道的だという日本人もいると思うが、そう感じることもよくある。
国際的に問題になっているもう一つは死刑である。死刑がいちばん多い国は中国で、また、殺人もかなり多い。
一度、中国人に「どうしてこんなに殺人と死刑が多いのか」と聞いたことがあるが、すかさず「中国人は多いから」と、わけのわからない言葉が当然のように返ってきた。
文化や習慣の違いは角度を変えてみると非常に恐ろしいこともある。
中国に住んでいるといい意味でも悪い意味でもあらゆることに免疫がつく。
「抗菌」もので溢れる日本は体に対してだけでなく、心にまで「抗菌」ガードをしてしまい、不測の事態に臨機応変に対応できなくなってきているのではと、思わされるときもしばしばある。どんなにマニュアル化されていても不測の事態の時こそ、力の発揮どころである。どこかでその状況を楽しんでいる自分がいると、見方も大きく変わっていくことがある。ただ、その渦中にいるときは、そんな余裕などないのも事実だが。
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