20.タクシー
いちいち言うまでもないが、日本のタクシーは各社で少しの差はあるものの初乗り料金も距離での値段もきちんと決まっており、騙すタクシーもないし、客も信用して乗る。
初乗り料金は、黒龍江省の鶴岡では四元から五元、青島では七元、北京では九元と、地域で差はあるもののきちんと決まっているし、距離での料金ももちろん決まってはいる。これはあくまで赤色(朱色)の通常のタクシーの場合であって、地方に行けばよく走っている軽ワゴン(白が多い)の値段はもう少し安い。
日本では乗って五分で着く場所も十数時間かかる場所でもメーター分を払うのが当たり前であるが、中国では短距離では日本と同じだが、長距離や長時間乗るときは必ず乗る前に運転手と交渉する。例えば、青島であれば、街の中心から空港までメーターで走れば、有料道路代も含め、五十五から六十元ぐらいかかる。それを乗る前に交渉し、四十から五十元ぐらいにしてもらう。すごいのは二十五元ぐらいにまけてもらい、乗る客もいる。
青島には韓国人や日本人など多くの外国人が住んでいるので、騙そうとするタクシーもほとんどいないが、たまに曲がる所をわざと通り過ぎ、それを二、三回繰り返し、ちょっとの額を上乗せしようとするせこいタクシーもいる。
観光客が日々訪れる北京では特にひどい。観光と移動で八時間付き合ってくれるタクシーもいる。「三百元でどうだ」と言ってくる。お金の基準がわからない観光客は日本円に換算し、安いと勘違いし、オーケーを出してしまうが、そこから値切って安くするのが中国人である。
また、北京もそうだし、あらゆる所にいるが、正規ではない「偽者」のタクシーも多い。車の色は赤、白、黒とまちまちだが、なぜか、運転席と助手席に二人乗っていることもある。私も初めて北京空港からホテルまで行くのに知らずに乗ってしまい、何かされるのではとヒヤヒヤした覚えがある。
そういった「偽者」タクシーに乗らないためには、先ず、声をかけてくる人間は完全に無視することだ。ただ、「偽者」タクシーでも交渉しだいでは問題ないのだが、普通に止まっている赤色のタクシーに乗るにこしたことはない。そうすればヒヤヒヤせずに済む。どちらにしても交渉して、安く乗れれば、もう中国人の仲間入りだ。例えば、自分が四十元で乗りたい(または限度額が四十元)と思っていれば、相手が「八十元でどう?」と言えば、話にならないという態度を前面に押し出し、「二十元だったらいいよ」とわざと低い額から言う。もちろん相手は「とんでもない!」という顔で、「じゃあ、七十元ではどう?」と言って来るので、そんな駆け引きを繰り返し、妥当な金額まで下げさせる。どうしても折り合いが付かないときは、いちいち粘らず、「じゃあ、要らない。ほか探すから」と言って、違うタクシーを探せばいいだけの話である。
空港や駅ではタクシーに限らず、ホテルの宿泊客の勧誘、こっちが男であれば、「女の子はどうですか?」と言ってくる者もいる。ほかにも物乞いが「お金を恵んでくれ」と来ることもある。これは後述するが、本当に困っている人もいるが、稼ぐための手段というだけの者もいる。
いずれにしろ、長時間、長距離でタクシーに乗る場合は、正規のタクシーを選び、乗る前に交渉をする。また、声をかけてくる者は無視する。毅然とした態度でいることだ。
極端に言えば、日本では何も考えていなくても、それなりに安全に生きていけるが、中国ではある意味、日々サバイバルだ。
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